お嬢様は“いけないコト”がしたい
「でも・・・汚してしまうかもしれませんし・・・。」
「ハンカチはそういう為の物ですからね。」
「じゃあ・・・お言葉に甘えて。
ありがとうございます、後日お返ししますので。」
「じゃあ後日、またうちに来てくれますか?」
「それは・・・。」
戸惑う私に一夜さんは楽しそうに笑い・・・
「食べ終わったらそのまま返してくれればいいから。」
そう言ってくれた。
それには笑い返しながら頷き、一夜さんが差し出してくれたハンカチを受け取ろうと両手を伸ばした。
そしたら、そのタイミングで・・・
「醤油ラーメンです。」
一夜さんのハンカチを受け取る前に、醤油ラーメンを作っていた幸治君がやっとこっちを見てくれ、醤油ラーメンを私と一夜さんの目の前の台に置いた。
その醤油ラーメンを約4年ぶりに見て、凄く凄く“嬉しい”と思った。
自然と笑顔になりながら私の目の前に置かれた醤油ラーメンを両手でソ~ッと持ち上げ、自分のカウンター席にゆっくりと置いた。
随分と懐かしく感じる、私が大好きな醤油ラーメン。
それを昔と同じようにこのカウンター席に置いた。
それから一夜さんに小さくお辞儀だけをして一夜さんの手からスッとハンカチを抜き取り、膝の上に素早く広げ幸治君を見上げた。
「幸治君、この方は永家不動産の須崎さんという方で。
あと少しで永家の婿養子になる方なの。」
「そうなんですね、おめでとうございます。」
幸治君が爽やかに笑いながら一夜さんにそう言った。
その爽やかな笑顔は私が初めて見る顔のようにも思う。
あれから約4年もの時が経ち、幸治君も少し大人になったように思う。
あの頃と同じ紺色のティーシャツ、“中華料理屋 安部”と書かれたティーシャツを着た、数日前に21歳になった少しガッシリとしたようにも見える幸治君を見て、そう思った。
“でもやっぱり凄く若いな”
そうとも思いながら。
爽やかな笑顔のまま私に視線を移してきた幸治君。
でも、また昔と変わらないような笑顔になりカウンターの向こう側から笑い掛けてきた。
そんな幸治君を“今”見て・・・
“今”この笑顔を見て思った。
“幸治君ってこんなに真剣な顔で私のことを見ていたかな”と・・・。
“幸治君ってこんなに嬉しそうな顔で私のことを見ていたかな”と・・・。
“幸治君ってこんなに熱が籠ったような目で私のことを見ていたかな”と・・・。
昔と同じように見える幸治君の顔を昔と同じカウンター席のこちら側から見上げながらそう思った。
“昔、幸治君が私のことが女として好きだったと分かっているからかな”
なぜだかこんなにもドキドキしてくる胸を久しぶりに感じながら・・・
幸治君の顔を“今”見てそんなことを思う自分にそんな言い訳みたいなことを言い聞かせながら、約4年ぶりの幸治君の醤油ラーメンを一口食べた。
「ハンカチはそういう為の物ですからね。」
「じゃあ・・・お言葉に甘えて。
ありがとうございます、後日お返ししますので。」
「じゃあ後日、またうちに来てくれますか?」
「それは・・・。」
戸惑う私に一夜さんは楽しそうに笑い・・・
「食べ終わったらそのまま返してくれればいいから。」
そう言ってくれた。
それには笑い返しながら頷き、一夜さんが差し出してくれたハンカチを受け取ろうと両手を伸ばした。
そしたら、そのタイミングで・・・
「醤油ラーメンです。」
一夜さんのハンカチを受け取る前に、醤油ラーメンを作っていた幸治君がやっとこっちを見てくれ、醤油ラーメンを私と一夜さんの目の前の台に置いた。
その醤油ラーメンを約4年ぶりに見て、凄く凄く“嬉しい”と思った。
自然と笑顔になりながら私の目の前に置かれた醤油ラーメンを両手でソ~ッと持ち上げ、自分のカウンター席にゆっくりと置いた。
随分と懐かしく感じる、私が大好きな醤油ラーメン。
それを昔と同じようにこのカウンター席に置いた。
それから一夜さんに小さくお辞儀だけをして一夜さんの手からスッとハンカチを抜き取り、膝の上に素早く広げ幸治君を見上げた。
「幸治君、この方は永家不動産の須崎さんという方で。
あと少しで永家の婿養子になる方なの。」
「そうなんですね、おめでとうございます。」
幸治君が爽やかに笑いながら一夜さんにそう言った。
その爽やかな笑顔は私が初めて見る顔のようにも思う。
あれから約4年もの時が経ち、幸治君も少し大人になったように思う。
あの頃と同じ紺色のティーシャツ、“中華料理屋 安部”と書かれたティーシャツを着た、数日前に21歳になった少しガッシリとしたようにも見える幸治君を見て、そう思った。
“でもやっぱり凄く若いな”
そうとも思いながら。
爽やかな笑顔のまま私に視線を移してきた幸治君。
でも、また昔と変わらないような笑顔になりカウンターの向こう側から笑い掛けてきた。
そんな幸治君を“今”見て・・・
“今”この笑顔を見て思った。
“幸治君ってこんなに真剣な顔で私のことを見ていたかな”と・・・。
“幸治君ってこんなに嬉しそうな顔で私のことを見ていたかな”と・・・。
“幸治君ってこんなに熱が籠ったような目で私のことを見ていたかな”と・・・。
昔と同じように見える幸治君の顔を昔と同じカウンター席のこちら側から見上げながらそう思った。
“昔、幸治君が私のことが女として好きだったと分かっているからかな”
なぜだかこんなにもドキドキしてくる胸を久しぶりに感じながら・・・
幸治君の顔を“今”見てそんなことを思う自分にそんな言い訳みたいなことを言い聞かせながら、約4年ぶりの幸治君の醤油ラーメンを一口食べた。