お嬢様は“いけないコト”がしたい
また新品の“中華料理屋 安部”のティーシャツを出してくれた幸治君。



“あんな部屋着だと休まらないですよ。”



なんて言っていた幸治君が、お風呂から出てサッパリした身体に“中華料理屋 安部”のティーシャツを着た私のことを見て、なんでかお風呂の中の時よりも興奮した顔で見てきた。



スウェットのズボンにシンプルなティーシャツ姿の幸治君が、自分自身が全然休めていない雰囲気で私のことを見てくる。



「幸治君から借りたハーフパンツは履かなかったの。
ティーシャツが大きいし、短めだけどワンピースみたいな感じにもなるから。」



「・・・それもそうだけど、羽鳥さんがそのティーシャツ着てるのマジでヤバい。
めっちゃ“中華料理屋 安部”が好きじゃん。」



「このティーシャツ着ただけでそうなるの?」



「なるでしょ・・・。
さっきから俺の“いけないトコロ”が羽鳥さんに意地悪され続けてて可哀想なことになってる・・・。」



「朝ご飯の前にピュッてする?」



「・・・だから!!言い方!!
“ピュッてする”って言い方!!!」



「だって、ピュッてしてるんだもん。」



「羽鳥さんがそう言うと何かめちゃくちゃ“いけないコト”みたいな感じがするから!!
エロすぎるから!!!」



「もう、その基準はよく分からない。」



「普段とのギャップ!!」



「幸治君の前でそんなにギャップある?」



「俺の前で色んな姿見せすぎだからギャップしかない!!」



幸治君が怒りながら、キッチンカウンターの向こう側で料理をしていく。
それをカウンターの前まで歩き、幸治君が料理をしていく姿を眺める。



一緒に住んでから初めて料理をしてくれる幸治君の姿を。



「やっぱり、料理をしてる姿は格好良いね。」



「それってその他の時の姿は格好良くないってことですよね。」



「そういうわけじゃないけど、でも料理をしてる幸治君の姿は格好良い。」



「羽鳥さんが料理を作ってる姿も綺麗でしたけどね。」



幸治君がそう言ってくれ、チラッと私のことをカウンターの向こう側から見てきた。



そして・・・



「良い奥さんになると思いますよ。」



そう言った。
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