仲里鈴音は死んでない✽.。.:*・゚
「最近はどう?」

 カウンセラー室に入って、丸いテーブルを挟んで先生の向かいの椅子に座ると、先生はさっそく、そう尋ねてきた。

「えっと……」

 先生が何について、どうかと聞いているのかは分かる。
 きっと、お姉ちゃんが死んで、大丈夫か? と聞きたいんだ。
 でも、大丈夫なんて言えるわけないし、颯馬くんのことも言えない。

 じゃあ、私はなんて答えればいいの?
 なにが正解?

「悪夢を見たりはする?」

 先生は質問の仕方を変えた。

「いえ、夢は見ません」

 私は淡々と答えた。

「じゃあ、ご両親はどう? 優しくしてくれる?」

 さらに先生は質問を変えた。

「はい」

 まるで割れ物に触れるように……。

 ぎゅっと両手で握ったスカートが皺になりそう。

 どう答えれば、この質問責めは終わる?
 嘘でも大丈夫と言えばいい?

「仲里さん、何か話したいことはない?」

 どうして、カウンセラーの先生はこういうやわらかい話し方をするんだろう。
 淡々と話したら怖いから?
 でも、私はこっちのほうが探ろうとされてるみたいで怖い。
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