仲里鈴音は死んでない✽.。.:*・゚
図書館はもう閉まってしまっただろうし、いま行っても、もう颯馬くんはいないかもしれない。
諦めてしまえば楽になれる。
お姉ちゃんが消え、颯馬くんが消える。
いつか、二人の記憶が私の中から薄れて……。
「……そんなの嫌だよ……!」
私は深呼吸をして、また走りだした。
図書館の建物が道路の向こうに見えてくる。
ここからでも、もうクローズの看板が立ってるのが見える。
でも、もしかしたらって……。
そう思いながら走って、横断歩道を渡ろうとしたときだった。
信号は赤になっていた。
迫る白い車。
すべてがスローモーションに見えた。
私、死ぬのかもしれない、って。
「あぶない……!」
後ろから、誰かに勢いよく手を引かれて、気が付けば私は誰かの腕の中にいた。
車に轢かれそうになって、危機を感じて心臓がバクバクと暴れて、まだよく分からなくて……
「なにやってんだよ!」
その声で我に返って、私は颯馬くんの腕の中にいるのだと理解した。
ゆっくりと顔を上げると、そこには真剣に怒る、颯馬くんがいた。
「ごめんなさい……」
そう言いながら、身体が震える。
「けど、颯馬くん、どうして……」
消えてなかったの?
「約束しただろ、俺が絶対守るって。でも、走ってくんなよ、俺を悲しませんな」
まだ震えている身体をぎゅっと抱きしめられた。
バクバクと鳴っていた心臓が小さくドクンと鳴る。
「だって、今日、会えなかったら、消えてしまうと思ったから……」
震える唇で、自分の言葉を伝える。
諦めそうになったのに、ずるいよね。
「一日会えなかったからって、俺は消えたりしないよ。今日会えなくたって、俺がAちゃんの学校の前で待てばいいんだから。そんなに簡単に俺の約束から逃がしたりしないよ」
至近距離から整った顔、真っ直ぐな瞳に見つめられて、胸が大きく鳴った。
颯馬くんを好きかもしれない、って心が言った。
諦めてしまえば楽になれる。
お姉ちゃんが消え、颯馬くんが消える。
いつか、二人の記憶が私の中から薄れて……。
「……そんなの嫌だよ……!」
私は深呼吸をして、また走りだした。
図書館の建物が道路の向こうに見えてくる。
ここからでも、もうクローズの看板が立ってるのが見える。
でも、もしかしたらって……。
そう思いながら走って、横断歩道を渡ろうとしたときだった。
信号は赤になっていた。
迫る白い車。
すべてがスローモーションに見えた。
私、死ぬのかもしれない、って。
「あぶない……!」
後ろから、誰かに勢いよく手を引かれて、気が付けば私は誰かの腕の中にいた。
車に轢かれそうになって、危機を感じて心臓がバクバクと暴れて、まだよく分からなくて……
「なにやってんだよ!」
その声で我に返って、私は颯馬くんの腕の中にいるのだと理解した。
ゆっくりと顔を上げると、そこには真剣に怒る、颯馬くんがいた。
「ごめんなさい……」
そう言いながら、身体が震える。
「けど、颯馬くん、どうして……」
消えてなかったの?
「約束しただろ、俺が絶対守るって。でも、走ってくんなよ、俺を悲しませんな」
まだ震えている身体をぎゅっと抱きしめられた。
バクバクと鳴っていた心臓が小さくドクンと鳴る。
「だって、今日、会えなかったら、消えてしまうと思ったから……」
震える唇で、自分の言葉を伝える。
諦めそうになったのに、ずるいよね。
「一日会えなかったからって、俺は消えたりしないよ。今日会えなくたって、俺がAちゃんの学校の前で待てばいいんだから。そんなに簡単に俺の約束から逃がしたりしないよ」
至近距離から整った顔、真っ直ぐな瞳に見つめられて、胸が大きく鳴った。
颯馬くんを好きかもしれない、って心が言った。