仲里鈴音は死んでない✽.。.:*・゚
◆ ◆ ◆
次の日、私と颯馬くんは地元の駅から三つ隣の駅で待ち合わせをした。
これには理由があって、颯馬くんが貸してくれた『君だけが許してくれた僕』が映画化されたから、映画館に見に行こうということになったのだ。
「映像化されたら、どんな感じになってるんだろうな」
駅を出て、隣を歩く颯馬くんはいつもと変わらない。
同い年くらいの女の子たちにきゃーきゃー言われて、何度も振り返られて、目立ってた。
だからかもしれない。
「君、かっこいいね。芸能界とか興味ない?」
映画館はもう目前だというのに、颯馬くんが芸能事務所のスカウトに捕まった。
颯馬くんは断っていたけれど、名刺を渡されて、スカウトマンから離れたあとも暫くそれを見ていた。
「やってみたら?」
興味があるのだと思って、私は彼にそう言った。
颯馬くんだったら、きっと人気になれる。
「いずれ消えるのに?」
颯馬くんは、消えるという言葉を躊躇わなくなってきた。
私に慣れさせようとしているんだと思う。
人間は慣れる。
慣れたくないのに。
「まあ、考えてみるよ」
私が何も言えなくなると、颯馬くんは名刺を無造作にシャツの胸ポケットに入れた。
「映画はじまる。行こう」
急ぐように手を繋がれてドキリとする。
今日、私はフラれるのかもしれない。
次の日、私と颯馬くんは地元の駅から三つ隣の駅で待ち合わせをした。
これには理由があって、颯馬くんが貸してくれた『君だけが許してくれた僕』が映画化されたから、映画館に見に行こうということになったのだ。
「映像化されたら、どんな感じになってるんだろうな」
駅を出て、隣を歩く颯馬くんはいつもと変わらない。
同い年くらいの女の子たちにきゃーきゃー言われて、何度も振り返られて、目立ってた。
だからかもしれない。
「君、かっこいいね。芸能界とか興味ない?」
映画館はもう目前だというのに、颯馬くんが芸能事務所のスカウトに捕まった。
颯馬くんは断っていたけれど、名刺を渡されて、スカウトマンから離れたあとも暫くそれを見ていた。
「やってみたら?」
興味があるのだと思って、私は彼にそう言った。
颯馬くんだったら、きっと人気になれる。
「いずれ消えるのに?」
颯馬くんは、消えるという言葉を躊躇わなくなってきた。
私に慣れさせようとしているんだと思う。
人間は慣れる。
慣れたくないのに。
「まあ、考えてみるよ」
私が何も言えなくなると、颯馬くんは名刺を無造作にシャツの胸ポケットに入れた。
「映画はじまる。行こう」
急ぐように手を繋がれてドキリとする。
今日、私はフラれるのかもしれない。