仲里鈴音は死んでない✽.。.:*・゚
「なに?」
答えながら横を見ても視線は合わない。
「顔がいい人の世界って、どんな風に見えてるの?」
前を向いたまま仲里は俺に問いかけた。
「それって、どういう意味?」
仲里も俺の顔がいいと思ってくれてるってこと?
こうやって話してるとき、全然見てくれないけど。
「周りからキャーキャー言われて月に何度も告白される人の世界って、どんな感じなのかと思って」
「それ、本当に文章書いてる人の聞き方なの?」
はは、と笑ってしまう。
ややこしくて物書きらしくない聞き方だ。
「そうだよ? わざとしてるんだもの。分からなかった?」
仲里も笑ってる。ほんと意地悪だ。
まだこっち見てくれないし。
「分かってるよ。モテるやつの世界がどう見えてるかってことでしょう?」
自分で口にして、本当かよ? と思いながら考えてみる。
イメチェンして中学に入って、急に周りが騒ぎ始めた。
顔がどうのとか、そんなので。
最初のうちはなんで俺の顔なんて、と思ったし、どうでもよかった。
いままでは地味でいじめられてきたわけだし。
でも、そのうち身長も伸びて、さらに周りの女子から気にされることが多くなった。
そりゃ、人に必要とされてるみたいで、気分は良かった。
嫌われているより良かったから。
「みんなと何も変わらないよ。周りが光って見えるわけでもないし」
考えた末に、そう答える。
そのうち大人になって、気にされなくなるんだ。いまは同い年の中で、少し気にされてるだけ。
「そう」
あっさりそう答えて、仲里は納得したのだと思った。
「でも、私からは別世界の人に見えるんだよね。こんな地味なやつといつまでもつるんでないで、中川くんは自分の世界に帰りな」
やっと視線が合ったのに、言われたのはそんな言葉。
ただ、突き放された、というより優しさを感じた。
まるで怪我をした鳥類を保護して、森に返すみたいな、そんな優しさ。
生きる世界が違う、みたいな、そんな……。
答えながら横を見ても視線は合わない。
「顔がいい人の世界って、どんな風に見えてるの?」
前を向いたまま仲里は俺に問いかけた。
「それって、どういう意味?」
仲里も俺の顔がいいと思ってくれてるってこと?
こうやって話してるとき、全然見てくれないけど。
「周りからキャーキャー言われて月に何度も告白される人の世界って、どんな感じなのかと思って」
「それ、本当に文章書いてる人の聞き方なの?」
はは、と笑ってしまう。
ややこしくて物書きらしくない聞き方だ。
「そうだよ? わざとしてるんだもの。分からなかった?」
仲里も笑ってる。ほんと意地悪だ。
まだこっち見てくれないし。
「分かってるよ。モテるやつの世界がどう見えてるかってことでしょう?」
自分で口にして、本当かよ? と思いながら考えてみる。
イメチェンして中学に入って、急に周りが騒ぎ始めた。
顔がどうのとか、そんなので。
最初のうちはなんで俺の顔なんて、と思ったし、どうでもよかった。
いままでは地味でいじめられてきたわけだし。
でも、そのうち身長も伸びて、さらに周りの女子から気にされることが多くなった。
そりゃ、人に必要とされてるみたいで、気分は良かった。
嫌われているより良かったから。
「みんなと何も変わらないよ。周りが光って見えるわけでもないし」
考えた末に、そう答える。
そのうち大人になって、気にされなくなるんだ。いまは同い年の中で、少し気にされてるだけ。
「そう」
あっさりそう答えて、仲里は納得したのだと思った。
「でも、私からは別世界の人に見えるんだよね。こんな地味なやつといつまでもつるんでないで、中川くんは自分の世界に帰りな」
やっと視線が合ったのに、言われたのはそんな言葉。
ただ、突き放された、というより優しさを感じた。
まるで怪我をした鳥類を保護して、森に返すみたいな、そんな優しさ。
生きる世界が違う、みたいな、そんな……。