仲里鈴音は死んでない✽.。.:*・゚
「小学一年生の子で、一人で土手で遊んでいて、川に転げ落ちてしまったそうなんです。それで溺れていたところを娘さんが助けてくれたと」
ドクンドクンと私の胸が鳴る。
おまわりさんは続けた。
「その子とお母さんが、謝罪とお礼をしたいと。――よろしいですか?」
「……はい」
私のお母さんは断ることも出来たのに、おまわりさんの言葉を受け入れた。
その会話を聞いて、私はこっそりリビングから顔を覗かせた。
若いお母さんとまだまだ小さい男の子が玄関に立っていた。
向こうは私に気付いていない。
「息子を救ってくださってありがとうございました……。怖くて言えなかったそうなんです。申し訳ありませんでした。大事な娘さんを……」
「いえ……」
深々と頭を下げる相手のお母さん。
私のお母さんはどんな顔をしてるだろう。
見えない。
でも、小さい子を救ったなんて、もう誰も何も言えないじゃん。
文句なんて言えない。
だって、お姉ちゃんはいいことをしたんだもん。
自分の命と引き換えに小さい子の命を救った。
あの子だって、何も悪いことはしてない。
事故だもの。
そう思うしかなかった。
お姉ちゃんは自殺じゃなかった。
それだけでよかった、って思うしかないじゃん。
「それでは、これで……」
終わりを告げるおまわりさんの声。
「あ、助けてくれたお姉ちゃんだ。ありがとう、お姉ちゃん」
気が付くと、男の子が私に手を振っていた。
男の子は分かっていないみたいだった。
分かるはずない。私たちはよく似てるから。
でも、私じゃない。私じゃないの。
そう思いながら、私は静かに手を振り替えした。
お姉ちゃんの代わりに。
ドクンドクンと私の胸が鳴る。
おまわりさんは続けた。
「その子とお母さんが、謝罪とお礼をしたいと。――よろしいですか?」
「……はい」
私のお母さんは断ることも出来たのに、おまわりさんの言葉を受け入れた。
その会話を聞いて、私はこっそりリビングから顔を覗かせた。
若いお母さんとまだまだ小さい男の子が玄関に立っていた。
向こうは私に気付いていない。
「息子を救ってくださってありがとうございました……。怖くて言えなかったそうなんです。申し訳ありませんでした。大事な娘さんを……」
「いえ……」
深々と頭を下げる相手のお母さん。
私のお母さんはどんな顔をしてるだろう。
見えない。
でも、小さい子を救ったなんて、もう誰も何も言えないじゃん。
文句なんて言えない。
だって、お姉ちゃんはいいことをしたんだもん。
自分の命と引き換えに小さい子の命を救った。
あの子だって、何も悪いことはしてない。
事故だもの。
そう思うしかなかった。
お姉ちゃんは自殺じゃなかった。
それだけでよかった、って思うしかないじゃん。
「それでは、これで……」
終わりを告げるおまわりさんの声。
「あ、助けてくれたお姉ちゃんだ。ありがとう、お姉ちゃん」
気が付くと、男の子が私に手を振っていた。
男の子は分かっていないみたいだった。
分かるはずない。私たちはよく似てるから。
でも、私じゃない。私じゃないの。
そう思いながら、私は静かに手を振り替えした。
お姉ちゃんの代わりに。