仲里鈴音は死んでない✽.。.:*・゚
「うん、ありがとう。開けよう」
ずっと立ち止まっていられない。
時は私を置いていってくれない。
先に進まなくちゃ。
私は中川くんの手から缶を受け取って、少し錆びたそれをカコンと開けた。
視界に入ってくるのは折り重なるように入っている二つの手紙。
小さなお気に入りのメモ用紙をお手紙折りにして、缶にそれぞれ入れたんだ。
「これお姉ちゃんの」
一番上にあった手紙を開いてみる。
可愛い星柄のメモ用紙。
『十年後の私へ。Aちゃんと一緒に作家になっていますか? たくさん小説を書いていますか? 大きくなったら恋愛の話とかも書いてるのかな……。私の夢は作家になること』
お姉ちゃん、こんなこと書いてる。まだ十年経ってないよ。
恋愛の話を書いてるのは合ってる。
小さいメモ用紙だから、文字数は少ない。
でも、夢への想いは詰まってる。
「仲里らしいな」
読み終えて、中川くんに渡すと彼はそう優しく笑った。
私も悲しさを誤魔化すみたいにふっと微笑んだ。
そのまま、もう一枚の手紙に手を伸ばす。
開くと、ハートのイラストが現れた。当時は可愛いものが大好きだったんだよね。
複雑な気持ちで過去の自分が書いた文章に視線を移す。
『何年後かの私へ。お姉ちゃんと一緒にいまも小説書いてますか? 得意なジャンルはなんですか? いまでも物語を書くことは好きですか? 嫌いになってないですか? 私は作家になりたいです。私の夢を叶えてください』
――嫌いになんてなれないよ。でも、夢も叶えられない。だって、私は……もう……。
胸が苦しくなる。
ずっと立ち止まっていられない。
時は私を置いていってくれない。
先に進まなくちゃ。
私は中川くんの手から缶を受け取って、少し錆びたそれをカコンと開けた。
視界に入ってくるのは折り重なるように入っている二つの手紙。
小さなお気に入りのメモ用紙をお手紙折りにして、缶にそれぞれ入れたんだ。
「これお姉ちゃんの」
一番上にあった手紙を開いてみる。
可愛い星柄のメモ用紙。
『十年後の私へ。Aちゃんと一緒に作家になっていますか? たくさん小説を書いていますか? 大きくなったら恋愛の話とかも書いてるのかな……。私の夢は作家になること』
お姉ちゃん、こんなこと書いてる。まだ十年経ってないよ。
恋愛の話を書いてるのは合ってる。
小さいメモ用紙だから、文字数は少ない。
でも、夢への想いは詰まってる。
「仲里らしいな」
読み終えて、中川くんに渡すと彼はそう優しく笑った。
私も悲しさを誤魔化すみたいにふっと微笑んだ。
そのまま、もう一枚の手紙に手を伸ばす。
開くと、ハートのイラストが現れた。当時は可愛いものが大好きだったんだよね。
複雑な気持ちで過去の自分が書いた文章に視線を移す。
『何年後かの私へ。お姉ちゃんと一緒にいまも小説書いてますか? 得意なジャンルはなんですか? いまでも物語を書くことは好きですか? 嫌いになってないですか? 私は作家になりたいです。私の夢を叶えてください』
――嫌いになんてなれないよ。でも、夢も叶えられない。だって、私は……もう……。
胸が苦しくなる。