クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
――真っ直ぐなのは、むしろ蓮見くんの方だよ。
自分の想いを言葉にして相手に伝えることって、そう簡単なことじゃないと思う。
私なんかは、恥ずかしさとか、相手にどう思われるかってことを気にしちゃって、胸の中にしまいこんじゃうことが多いから。
でも、プラスの気持ちをこうして言葉で伝えてもらえることって、やっぱりすごく嬉しいことだ。
私もこんな風に、誰に対しても真摯に向き合えるような人でありたいな。
ただ思うだけじゃなくて、言葉にして届けられるように、少しでも意識していきたい。
そうしたら、伝染した嬉しい気持ちが広がって、周りの世界がもっと優しくなるような気がするから。
「……蓮見くん、ありがとう」
「ううん、俺の方こそ。ありがとう」
二人で小さく頭を下げ合って笑っていれば、いつの間にか、つっこちゃんと宇佐美くんの勝負の決着がついていたらしい。
勝者はつっこちゃんのようで、満足げな顔でガッツポーズをしている。