クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
第九話 離れて気づいた思いの正体
GWが開けて通常通りに学校が始まった。
席に着いて一時間目の数学の予習をしていれば、朝練を終えた宇佐美くんが登校してくる。
「夏目さん、おはよ」
「宇佐美くん、おはよう。朝練お疲れ様」
「うん、ありがとう。夏目さんは……予習してるの? えらいね」
「あはは、数学は苦手だから……でも日付的に今日は私が当てられちゃいそうだから、ちゃんと勉強しておかないとって思って」
「そっか。でももし分からなければ、俺がいつでも教えるよ」
「宇佐美くんは数学得意だもんね。ありがとう」
朝のHRが始まる十分前。
教室にやってきた宇佐美くんと他愛のないお喋りをする。
もう一か月前のように、宇佐美くんの顔色を伺って、怯えて話すようなこともなくなった。こんな風に、授業の合間に雑談を繰り広げられるくらいには仲良くなることができた。
きっと、合宿中や休日に遊びに行った時に、宇佐美くんのことをより知れたからだと思う。