クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
――最近の私、何だか変なんだよね。宇佐美くんを見ていると、ドキドキして……嬉しいような、だけど反対にすごく苦しいような……不思議な気持ちになっちゃう。
この感情って、一体何なんだろう。
今度つっこちゃんに相談してみようかなと考えていれば、カバンにしまい忘れていたスマホの画面が光った。
先生に見つかっちゃう前に片付けようと思い、慌ててスマホを手にする。
だけど、チラッと見えた画面には、大賀美くんからのメッセージが届いていた。
『小夜ちゃんおはよ! 今日は一限から数学でサイアクだよ~』
大賀美くんは、こうして毎日メッセージを送ってくれるし、一回だけ通話をしたこともある。
内容は授業のことだったり、今流行りのドラマやアニメのことだったりと他愛のないことだけど、大賀美くんとのやりとりはすごく楽しい。
大賀美くんが話し上手だからっていうのもあるだろうけど、私が全然知らないことでも、すごく楽しそうに教えてくれるから、聞いていてワクワクしちゃうんだよね。
(こっちも今日は一限から数学だったよって、あとで送ろう)
教壇で話している佐藤先生の話に耳を傾けながら、授業後の休み時間のことを考えて、口許をそっと緩ませた。