クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「……ごめんね。私、ごみ捨てに行かないと」
「なら、俺も一緒に…「一人で大丈夫だから」
「……分かった」
今、これ以上宇佐美くんと話していたら……何だか泣いてしまいそうで。
地面を見つめたまま宇佐美くんの言葉を突っぱねて、ごみ捨て場の方に足を進める。
宇佐美くんは、追いかけてはこなかった。
十歩ほど進んでからそっと後ろを振り返れば、宇佐美くんの背中が少しずつ小さくなっていくのが見える。
突き放したのは私の方なのに……遠ざかっていく宇佐美くんの背中に、寂しい気持ちが募っていく。
その背をジッと見つめていれば、突然強い風が吹き荒れて、私は反射で目をつぶってしまった。
そして、次に目を開けた時――もうそこに、宇佐美くんの姿はなかった。