クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
***
「それじゃあ、今日は席替えをするぞー」
朝のHRの時間。佐藤先生が放った一言に、教室内は一気に騒めきだす。
「マジかよ~。おれこの席気にいってたのに」
「次も近くになれるといいね!」
クラスメイト達のおしゃべりを耳に入れながら、私の意識は隣の席に座っている宇佐美くんに一直線に向いていた。
そっと右隣を窺えば、宇佐美くんも私のことを見ていた。
視線を合わせたまま、何を話したらいいのか分からなくて黙っていれば、宇佐美くんは柔らかく微笑む。