クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「悩んでるのって、宇佐美のことなんでしょ?」
「っ、どうして分かったの?」
「そりゃあ分かるよ。だって宇佐美と席が離れてからじゃん、小夜の元気がないのって」
「……うん、そうなの」
図星を突かれて、私はすぐに白旗を挙げた。
最近宇佐美くんのことが気になっていることを正直に話せば、つっこちゃんは、それは大きなため息を吐き出した。
「はぁー。私のかわいいお小夜が取られるとか、しかも宇佐美にとか、正直言えばほんっっとに悔しいんだけど……でも、小夜にはいつだって笑っててほしいからね。私は小夜の味方だよ」
つっこちゃんは、くり抜いた生地を天板に並べながら、優しい顔で微笑んだ。
「その気持ち、宇佐美に直接言ってやりなよ」
「っ、でも……」
――宇佐美くんには好きな子がいる。私が気持ちを伝えたって、迷惑なだけだ。
「だって、思ってるだけじゃもったいないじゃん。言葉にしなきゃ伝わんないんだからさ。……大丈夫! もしまたひどいこと言われたら、今度こそ私がぶん殴ってやるから」
つっこちゃんはニッと口角を持ち上げて笑いながら、私を励ますようにグッとサムズアップしてみせた。