クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
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「ねぇねぇ、最近の宇佐美くんってさ、何か優しくない?」
差し入れを終えて調理室に戻っていた最中。
耳に届いた声に、私の胸はドキリと嫌な音を立てる。
「えっ、分かるー! 前はもっと素っ気ない感じだったのに、最近は結構話してくれるよね」
「さっきも差し入れ受け取ってくれたしさ。しかもありがとうってお礼まで言ってくれて! ヤバい、私惚れちゃいそう……!」
「あはは、それじゃあ告白でもしてみれば?」
「えぇ、ムリに決まってるでしょ~!」
キャッキャと楽しそうに笑っている女の子たちの声が、どこか遠くに聞こえる。
ズキズキと痛む胸をおさえながら、脳裏に浮かぶ優しい笑顔を思い出して――だけど次に浮かんだのは、私を冷たい瞳で射抜く、宇佐美くんの表情で。
もしかしたら、私のこの気持ちは、宇佐美くんにとって迷惑でしかないのかもしれない。
ついさっき、勇気を出して思いを伝えるんだと決心したばかりだったのに……私のなけなしの勇気が、プスッと針を刺された風船みたいに、しゅるしゅる小さく萎んでいく。
――恋って、こんなに痛くて、苦しいものだったんだ。
じわりと滲みそうになった視界に慌ててうつむいた私は、ごしごしと目元をこすった。