クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「だから……こういうの、困る」
「そう、だよね」
――えっ、それじゃあこの手紙はどうすればいいんだろう。あの女の子を捜して、私が返せばいいのかな? うぅ、それは気まずいなぁ。でも捨てるわけにも私が持っているわけにもいかないだろうし……。
困っていれば、宇佐美くんは黙ったままチラリと私の顔を一瞥してから、手元にあったピンク色の封筒を攫っていった。
「とりあえず、これは俺がもらうけど……今後はそういうの、断ってもらっていいから」
「う、うん。分かった」
宇佐美くんは感情の読めない表情で、封筒をジッと見つめている。
「その……好きな子と、上手くいくといいね」
「……うん」
無言の時間が気まずくて、そんな典型的でありふれた言葉を伝えてみたけれど、宇佐美くんは微かに口角を上げて――今にも泣いてしまいそうな顔で、微笑んでいるように見えた。