クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
第三話 噂の真実
「やっぱり宇佐美くんと夏美ちゃんって、お似合いだよねぇ」
放課後。
バスケ部に差し入れのレモネードを持って体育館を訪れれば、同じ料理部に所属している別クラスの女の子二人が、一点を見つめながら嬉々とした様子で話している声が聞こえてきた。
二人の視線の先を辿れば、そこにはこの前の席替えで隣の席になった宇佐美くんと、バスケ部のマネージャーであり、私たちの隣のクラスに在籍している藤崎夏美ちゃんがいた。
藤崎さんは同学年の間で、美人で気さくな優しい子であると有名だ。
私は挨拶程度でしか話したことがないけど、藤崎さんが噂通りの素敵な女の子であろうことは見ているだけでも伝わってくる。
茶色がかった長くてふわふわの髪の毛をポニーテールにしている藤崎さんは、クールで近寄りがたい雰囲気がある宇佐美くんにも物怖じすることなく、笑顔で話しかけている。
宇佐美くんはいつもと変わらない無表情に見えるけど……談笑している二人は私の目から見ても、仲睦まじい恋人同士のように見える。
そう思うと、宇佐美くんの纏う雰囲気も、いつもよりどことなく柔らかく感じるような気がする。