クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「な、なな、何してるの……!?」
動揺して、声が上ずってしまった。
「さっきから夏目さんがかわいすぎるから……キスしたくなった」
宇佐美くんはマイペースにコテンと首をかしげると、再び顔を近づけてくる。
「ま、待って宇佐美くん! 私まだ、心の準備が……!」
好きな男の子ができたのも、告白したのも、彼氏ができたのも、私にとっては全部が初めての経験だ。昨日から初めてのこと尽くしで、私の心はすでにいっぱいいっぱい、キャパオーバーしそうになっている。それなのにいきなりキスだなんて……せめてもう少し、時間がほしいです……!
私の必死なお願いに宇佐美くんは納得してくれた様子で、小さく頷いてくれた。
ホッと安堵の息を漏らしていれば――右頬に、柔らかな熱が触れた感触。
「それじゃあ、今はここで我慢するね」
至近距離で宇佐美くんに囁かれる。
……どうやらたった今、頬っぺたにキスされたみたいです。
理解したと同時に、瞬時に真っ赤に染まった私の顔を見た宇佐美くんは、目を細めて、満足そうに笑っていた。