クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「やっぱりあの二人、付き合ってるのかなぁ」
「どうだろうね? まぁあの二人なら美男美女で納得だよねー」
キャッキャッと楽しそうにお喋りしている二人の背後から、ぬっと大きな影が現れる。
「こーら、おしゃべりばっかりしてないで、さっさと手伝いなさい!」
「「は、はーい!」」
料理部の部長である美和子先輩だった。
ビクリと身体を揺らしてそろって返事をした二人は、足元に置いてあった洗濯籠を持って小走りで駆けていった。
「ほら、小夜も行こ。ウチらまで美和子先輩にどやされちゃうよ」
美和子先輩たちのやりとりを見ていたら、私の一番の仲良しと言っても過言でない猫宮月子ちゃん(通称つっこちゃん)がやってきた。
つっこちゃんとは昨年も同じクラスで、初めての席替えで隣同士になったこともあって仲良くなった。
焦げ茶色のショートヘアで、前髪を猫のヘアピンで留めている彼女はいつもオシャレさんだ。
校則ギリギリのスカート丈にしているから、先生たちにはよく声を掛けられたり、お小言をもらったりしているみたいだけど。