クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「……そんなチャンスは、一生こないから」
私と大賀美くんの会話に入ってくることもなく、静かに話を聞いていた宇佐美くんが、前に出てくる。
「それはどうかな~?」
「それに今度の試合も……もう、負けない」
「はは、望むところ」
二人はバチバチと火花を散らしながら話している。――大賀美くんは、私の好きな男の子が宇佐美くんだってことに、とっくに気づいていたみたいだ。
「あっ、そうだ。それじゃあ俺が勝ったらさ、今度こそ小夜ちゃんとデートしてもいい?」
「は? 夏目さんの彼氏は俺なんだから、ダメに決まってるだろ」
「えー、宇佐美んってば、もしかして俺に勝つ自信がないとか?」
「勝つ自信しかないに決まってる」
――何だか、最近はこんな光景を見ることが多い気がするなぁ……。
この前の練習試合の時を思い出しながらも、どこか楽しそうにも見えるやりとりに、二人が良いライバルであることが伝わってきて、私の口許はほころんでいく。