クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「二人ってば、またやってるんだ。飽きないよね」
宇佐美くんたちの言い合いを見守っていれば、蓮見くんが歩いてきた。時間になっても部活に来ない宇佐美くんを、捜しにきたみたい。
「そう言えば、遥翔から聞いたよ。付き合うことになったんだってね」
「あ、うん。実は……」
「……そっか。よかったね」
蓮見くんは、優しい顔で笑いかけてくれる。
「でもさ、もし遥翔に泣かされるようなことがあったら……」
蓮見くんの綺麗な指先が、私の右頬につんっと触れる。
「その時はまた、俺が苺みるくをおごってあげるね」
優しい声が鼓膜を震わせて、胸の中にすとんと落ちてきた。
――あぁ、そっか。あの時私がついた嘘も、お手伝いをサボってしまった理由も、蓮見くんにはお見通しだったのかもしれないな。