クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「いや~、それにしても小夜、今日は見事な回避っぷりだったね」
合宿初日の練習を終え、皆で調理室に集まり夕食のカレーライスを食べて、つっこちゃんと二人で皿洗いをしていた最中。
ニヤリと口角を持ち上げて告げられたその言葉に、私はドキリとしてしまった。
何か悪いことをして、それを隠していたことがバレてしまったような……決まりが悪くて、ソワソワしてしまうような気持ち。
それはきっと、後ろめたい思いがあるからだ。
だって宇佐美くんは何も悪くないのに、私ってば、彼を無視するような態度をとってしまったんだから。
「……私、そんなに分かりやすかったかな?」
「いや、ほとんどの人たちは気づいてないんじゃない? 私は小夜と今日ほぼ一緒に行動してたから、気づいただけ」
「そっか。それならいいんだけど……」
不自然な態度を訝しく思われて、部活動に何か支障をきたしてしまっても申し訳ないし。
そこまで挙動不審に見えていたわけではないのなら、とりあえずはよかったと思う。