クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「いやでも、嫌いな子に冷たい態度をとっちゃうのは普通のことだと思うし、そもそも、そう思われてる私にも原因があったんだろうし…「はぁ? 小夜ちゃんに原因なんて絶対にないよ! どう考えても百パーセント! 遥翔が悪い‼」
藤崎さんは興奮した様子で立ち上がり、私に詰め寄ってくる。
私はその気迫に押されて仰け反りながらも、藤崎さんを落ち着かせようと必死に言葉を紡いだ。
――私はただ、宇佐美くんとの間にお互い恋愛感情は一切ないんだよっていうことを伝えたかっただけなんだけど……もしかして、言わない方がいいことまで伝えちゃったかな?
幾分か怒りが落ち着いたらしい藤崎さんは、再びスツールに腰を下ろすと、私の両手をぎゅっと握りしめる。
「私ね、ずっと前から、小夜ちゃんのことかわいい子だなぁって思って見てたの。何か小動物みたいだなって」
「しょ、小動物……?」
「でも小夜ちゃん、バスケ部に手伝いにきてくれても気づいたらすぐにいなくなっちゃうから、中々話しかける機会もなくて……だからね、よかったらこれを機に、友達になってくれないかな?」
藤崎さんは握った手にキュッと力をこめて、大きな瞳を不安そうに揺らしている。