クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「うん、それはもちろん。私も藤崎さんとお友達になれたら嬉しいな」
「っ、本当に? 嬉しい……! それじゃあ私のことは夏美って呼んで」
「うん。それじゃあ夏美ちゃんって呼ばせてもらうね」
名前を呼べば、ぱあっとかわいらしい笑みを広げた夏美ちゃんは、私に抱き着いてきた。
「はー、小夜ちゃんかわゆい……」
「夏美ちゃんの方が十万倍かわいいよ」
「ううん、小夜ちゃんの方が百万倍かわいい」
「それじゃあ夏美ちゃんは一億倍かわいい」
「それじゃあ小夜ちゃんは……」
終わりの見えない言い合いに、私と夏美ちゃんは同時に顔を見合わせて、プッと噴き出した。
「私たち、真剣な顔で何言ってるんだろうね」
「ふふ、おかしいね」
背の高い夏美ちゃんを見上げて笑いかければ、夏美ちゃんはまた、ガバリと私を抱きしめてくる。