クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
第四話 宇佐美くんは意外と強引
合宿二日目。それは練習中に起こった。
「遥翔、大丈夫か?」
体育館の端っこで、宇佐美くんを含めた数人の部員が集まっている。彼らは今半面コートで練習試合をしていたはずだったけど……どうしたんだろう?
気になって、声の聞こえるそばまで近寄ってみた。
騒ぎに気づいた夏美ちゃんも駆け寄っていって、心配そうな面持ちで声を掛けている。
「遥翔、どうしたの?」
「……軽く突き指した」
「え!? ちょっと、大丈夫なの?」
「別に、問題ない」
話を聞いた感じ、どうやら宇佐美くんが突き指をしてしまったらしい。
「とりあえず保健室でテーピングしてもらってこい」との先輩からの言葉に、宇佐美くんは腰を上げて保健室へ向かっていく。
――あっ、目が合ってしまった。
サッと視線を逸らして、私も自分の仕事をするべくその場を離れようとすれば……後ろから、誰かに腕を掴まれた。