クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「小夜~! 無事!? 宇佐美に変なことされてない!?」
「ちょっと、猫宮さん! あー……ごめんね、遥翔」
保健室に姿を現したのは、走ってきたのだろう、少しだけ息を切らしているつっこちゃんと、それに……バスケ部所属で隣のクラスに在籍している、蓮見凪沙くんだ。
蓮見くんと宇佐美くんは仲良しみたいで、よく一緒に話している姿を見かける。
私も蓮見くんとは昨年同じクラスだったこともあって、そこそこ話をする仲だった。
蓮見くんは、何故か申し訳なさそうに眉を下げている。
「……とにかく、俺は夏美とは何にもないから。だからもう、避けないでね」
賑やかな二人の登場に小さく嘆息した宇佐美くんは、私に念を押すようにそう告げた。
私が頷いて返せば満足そうに口角を上げて椅子から立ち上がり、蓮見くんのもとへと歩いていく。