クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
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「それじゃあ行こっか」
四番のペアが出発して五分後、私たちの番になった。
肝試しのコースとしては、一階にある調理室と二階にある二年四組の教室、三階にある音楽室それぞれにトランプのカードが置いてあるため、自分たちと同じ数字が書かれたものを持って戻ってくることになっている。
「ま、真っ暗だね……」
蓮見くんが懐中電灯で前を照らしてくれているとはいえ、明かりの灯っていない校内は薄暗くて、不気味な雰囲気は払拭されない。
「夏目さん、こういうのは苦手?」
「うん、正直、かなり……」
「はは、そっか」
蓮見くんは爽やかに笑いながら「大丈夫だよ。もし何かあっても、夏目さんのことは俺が守るからさ」と頼もしい一言を口にしてくれた。