クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「蓮見くん、どうかしたの?」
「いや……よく考えたら、遥翔ばっかりずるいなって思ってさ」
「ずるいって、何のこと?」
「だって夏目さん、最近は遥翔とばっかり仲良くしてるからさ。ちょっと妬いちゃうなって」
「な、仲がいいって……別に、そんなことはないと思うけど……」
――というか妬いちゃうって、蓮見くんってば、どういう意味で言ってるんだろう。確かに蓮見くんとは昨年同じクラスだったけど、クラスメイトとして雑談をするくらいの仲で、特別親しくしていたわけじゃないし……。
悶々と考え込んでいれば、いつの間にか蓮見くんは足を止めていた。
右手をそっと掴まれたことで、私の足もピタリと止まる。