クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「……うん。やっぱり照れるね。でも、すごく嬉しい」
数秒ほど、無言の時間が流れた。
気恥ずかしくて下を向いていたけど、斜め上から聞こえた声に顔を上げれば――蓮見くんは、頬をほんのりと桃色に染めて、照れくさそうにはにかんでいた。
その表情を直視した瞬間、ぶわわっと顔が熱くなる。
「……そ、そろそろ行こっか!」
いまだに掴まれたままだった手から抜け出して、一足先に前を進んでいく。
――どうしよう、今の私、絶対変な顔をしてる気がする。蓮見くんの顔、まともに見れる気がしないよ……!
もうお化けが怖いどころじゃなくなってしまった私は、顔の熱を冷ますべく、気持ち速く足を前へと動かした。そして、二階に続く階段を半分まで上り切ろうとしたところで――。
「ばぁっ!」
踊り場の陰から、脅かし役として隠れていたらしい男の子が姿を現した。