クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「よっし、そんじゃあ挨拶したら、オレらもさっさとアップ始めるか」
「……あ、すみません。俺、ちょっと精神統一したいんで、先に行っててください」
「おいおい、精神統一ってオマエ……まさか緊張してんのか~?」
「あはは、俺が緊張するタイプに見えます?」
「んー、見えねぇな! はは、まぁ早めに戻ってこいよ」
「うぃっす」
茶髪の男の子は、先輩らしき男子に声を掛けると、集団から抜けてこちらに歩いていてきた。私はサッと身を隠す。
「はぁ……」
ドキドキしながら身体を縮こませていれば、聞こえてきたのは、男の子から発せられた重たいため息だった。
「あの……大丈夫ですか?」
ひょこりと顔だけ出した私は、恐る恐る声を掛ける。
茶髪の男の子はビクリと小さく肩をふるわせて、私の登場に驚いているみたいだ。