クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「あ、驚かせてごめんなさい」
「え、あれ? 女の子だ……もしかしてマネージャーさん?」
「えっと、マネージャーではないんですが、今日はバスケ部のお手伝いにきてる感じ、です」
「へぇ、そうなんだ。こんな可愛い子にお手伝いにきてもらえるとか、うらやましいなぁ」
男の子は、にこりと愛嬌のある笑みを浮かべている。
だけど私の目には、やっぱり、どこか無理して笑っているように見えてしまう。
「あの、具合が悪いんじゃないですか?」
「え? ……いやいや、全然そんなことないよ」
「でも、顔色が悪いですよ? 無理して悪化したら大変ですし……よければこれ、飲んでください」
自分用に持ってきていた、まだ封を開けていないミネラルウォーターを差し出す。
「……ありがとう」
男の子は少しだけ迷っていたみたいだけど、私が手を引っ込める気のないことが分かったのか、苦笑いをしながらも受け取ってくれた。
――こうして接してみると、思ったより話しやすいかもしれない。話し方も穏やかで、さっきまで感じていた軽そうって雰囲気もない。
やっぱり、人を見た目で判断するのはよくないよね。反省しないと。