クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「そうだ、いいこと思いついた。ねぇ小夜ちゃん」
「へっ!? な、何ですか?」
――突然話をふられたから、変な声が出ちゃった。恥ずかしい。
だけど大賀美くんはそのことには触れずに、にこにこと楽しそうに笑いながら話を続ける。
「今日の練習試合で、ウチが勝って俺が活躍できたらさ。デートしない?」
「……でーと?」
「そ、デート。一緒に甘いものでも食べに行こ―よ。小夜ちゃんはケーキとかパフェとか好き?」
「ケーキもパフェも好き、ですけど……」
甘いものが好きな私は、魅力的なお誘いを受けて、一瞬心がふわついた。
だけど、知り合ったばかりの男の子と二人きりで出掛けるっていうのは、私には中々ハードルが高い気もする。
せっかくの美味しいケーキやパフェも、緊張で味わうどころじゃなくなっちゃうかもしれないし。
そう考えて、せっかくのお誘いだけど、今回はお断りすることに決めた。