クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「そこまで言うならさ、今日の練習試合で勝った方が小夜ちゃんとデートできるっていうのはどうよ?」
「は? そんな勝負、するわけないだろ」
「へぇ。宇佐美んは、俺に負けるのが怖いんだ」
「……お前に負けるとか、ありえないから」
「それじゃあ決まりな」
「望むところ」
――えっと、ちょっと待って? 気づけばどんどん話が進んでいるんだけど、勝った方とデートするとか、そんなこと、私は何にも了承してないのに……。
「あの、私はデートに行くなんて一言も…「宇佐美んの悔しがる顔、早く見たいなぁ」
「その顔を見せるのはお前の方だろ」
恐る恐る挙手して意見を言おうとしたけど、バチバチと火花を散らしている二人にさえぎられてしまい、私の抗議の声は届くことなく、宙に消えてしまった。
――こうして、何故か勝った方と私がデートするということで話がまとまり、練習試合が始まったのだった。