クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
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みかんを食べ終えた私たちは、神社から一番近いつっこちゃんの家に立ち寄ってゴミを捨てさせてもらってから、電車に乗って隣町にある大型ショッピングモールにやってきた。
建物は吹き抜けの三階建てになっていて、洋服や雑貨類にフードコーナーまで充実しているのはもちろん、大きなゲームセンターや書店なんかもあり、別館には映画館やボウリング場も併設されている。
丸一日いても十分に楽しめるくらいには、広い敷地になっていた。
「まずはどこに行こっか」
皆で歩きながらお店を見て回っていれば、目に留まったのは、ガヤガヤと賑やかな音を響かせているゲームセンターだった。
「あ、クレーンゲームあるじゃん! あのぬいぐるみ欲しい!」
お目当ての景品を見つけたらしいつっこちゃんは、目を輝かせて駆けていく。
「ったく、猫宮さんは子どもみたいだな」
呆れたように笑いながらもその後を追いかけていく蓮見くんは、何だかお兄ちゃんみたいだ。夏美ちゃんもクスクス笑いながらその後に続いていく。
私もその背を追いかけようと足を踏みだせば、後ろから手首を掴まれ引き止められた。