クールで人気者の宇佐美くんは、私の前でだけデレが全開になります。
「夏目さん。俺らはここで応援しつつ、ちょっと休憩してよっか」
同じく成り行きを見守っていた蓮見くんは、やれやれと困ったように眉を下げて笑いながら、近くに設置されていたベンチに腰を下ろした。
宇佐美くんたちの試合を視界に入れながら、私も隣に腰かける。
「そういえば夏目さん。今朝は言いそびれちゃったけど……私服姿、すごくかわいいね」
「え? ……いやいや、全然普通だと思うけど……!」
続くラリーを目で追っていれば、唐突に落とされたストレートな誉め言葉に、私は一拍遅れて大きく首を横に振った。
学校の人気者で女子に囲まれていることも多い蓮見くんは、“かわいい”っていう言葉も、もしかしたら言い慣れているのかもしれない。
だけど、蓮見くんが嘘でそんなことを言うような男の子じゃないって知っているから、素直に嬉しいし、同じくらい照れ臭くなっちゃうんだよね。
「夏目さんに似合ってて、俺はすごく好きだな」
「あ、ありがとう」
お礼を伝えてこの話はお終いになったけど、蓮見くんは、更に私を照れさせる言葉を紡いでいく。