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渚、恋の痛みを知る
「・・・ひっく・・・ひっく・・・・」
居酒屋「はな」の閉店時間はとっくに過ぎて、店内にはカウンターで泣きながら酔い潰れている渚、そして渚の会社の後輩美々、そして女将の華しかいなかった。
渚からおおまかな話を聞いた華と美々が、二人揃って渚に叫んだ。
「この・・・大馬鹿者がっ!!」
「わかってる・・・そんなこと言われなくたって自分が一番わかってる・・・でも・・・仕方が無いじゃん。私より堀内さんの方が湊を幸せに出来るんだもん・・・」
華があきれ顔で渚の頭を小突いた。
「渚、私あんたのこと・・・昔から馬鹿だ馬鹿だとは思ってたのよ。でもこんなに大馬鹿だとは知らなかったわ。これまでだって友達の恋を助けるためにあんた何回失恋した?何回身を引いた?そんなのね、美徳でもなんでもないの。あんたが一番優しくしなきゃいけないのは誰?自分自身でしょ?自分の幸せを一番に考えないで、なにがスマイル&ピースよ。聞いて呆れるわ。」
「酷いよ華・・・そこまで言う?」
「言わなきゃわかんないのよ。あんたって人間は。」
「だって・・・だって・・・」
落ち込む渚に、美々がさらに追い打ちをかけた。
「渚先輩は馬鹿ですか?好きな男をほいほいと他の女に熨斗紙付けて差し出して・・・先輩マジで恋愛舐めてます。そんなんじゃ一生先輩は幸せになれませんよ?ずっとひとりですよ?」
「そうよ・・・美々の言うとおりよ・・・私は一生おひとり様で生きていくの。もう決めた。恋愛なんてしない・・・」