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「湊!」

渚の叫び声に湊が振り向いた。

息を切らしながら近づく渚に、湊は驚いた顔で立ち止まった。

「渚・・・お前、何してる。こんな遅い時間に。」

「・・・ごめん。ストーカーみたいな真似をして。」

「俺を待ってたのか?」

「うん。待ってた。」

渚は息を整え、深呼吸をした。

「用があるならアポを取れって言ったのはお前だろ?時間を無駄にするのが嫌いなお前が一体何やってんだ?竜巻でも起こすつもりか?」

湊はそうからかうように言った。

「・・・いつまでも湊を待ってみたかったの。」

渚はそう言って長身の湊の顔を見上げ、真っ直ぐにみつめた。

そして、薄手のコートのポケットからピンクの包装紙に包んだ小さな箱を出し、それを湊へ差し出した。

「これ・・・私が作ったクッキー。初めて作ったから湊みたいに上手く出来なかったけど・・・。これまでずっと美味しいスイーツを作って貰ったお礼。」

「・・・開けてもいいか?」

湊の言葉に渚は「うん。」と頷いた。

湊が蓋を開けた箱の中には、ハートのクッキーが詰まっていた。

クッキーの表面にはアイシングでピンク色にデコレーションしてある。

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