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渚と奈央はあーだこーだと言い合いながら、クロスワードパズルを次々と解いていった。
そしてパズルが一区切りつくと、奈央はパタンと雑誌を閉じて言った。
「僕、なんだか喉が渇いてきました。」
「そうね。そろそろおやつの時間だもんね。お姉さんがジュース奢ってあげようか?」
「いや・・・それは大丈夫です。」
「気にしないで?こう見えてもお姉さんお金持ちなのよ?」
「いえ・・・外で物を食べたり飲んだりしてはいけないと保護者に言われているので。」
「そう・・・しっかり教育されているのね・・・」
「実はこの近所に僕の家があるので、家でいっしょにおやつを食べませんか?」
「え?こんなオバサン家に連れて帰ったら、それこそお母さんに怒られちゃうよ?」
「いえ・・・母はいないので。」
母がいない・・・とは?
今外出しているだけ?まさか病気かなにかで亡くなったとか?それともご両親が離婚してお父さんが親権を取ったのかしら?
でもそこまで踏み込んで聞いてもいいものなのだろうか・・・と渚が考えているうちに、奈央は渚の右手をぎゅっと握りしめた。
「渚、とにかく一緒に行きましょう。」
「渚!?」
いきなりの渚呼びに面食らいながらも、右手を引っ張る奈央に釣られるように渚は歩き出していた。
・・・私って成人男性には全くモテないけど、なぜか昔から子供と動物にはモテるのよね。
奈央の小さな背中を眺めながら、渚はそうひとりごちた。