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渚、後輩女子の話に閃きを得る
居酒屋「はな」のカウンター席。
渚はグラスに入った麦焼酎「百年の孤独」を勢いよく喉に流し込み、はあああっと大きなため息をつき、カウンターに身体を伏せた。
美里と木之内惣が二重人格だと知ったことは衝撃だった。
奈央と美里の親子関係を修復させてあげたいのはもちろんだったが、渚がそれより心配なのは湊のメンタルだった。
美里以上に湊は、大きな罪悪感と責任感で押しつぶされそうになっている。
そんな湊の重荷をなんとか軽くしてあげたい・・・気がつくと渚はそのことばかりを考えているのだった。
「渚、こんなところで寝ないでよね。ここはあんた専用のカウンターじゃないのよ?ちょっとは遠慮ってものを考えなさい。」
カウンターの向こうから華の小言が飛んできても、渚は身じろぎもしなかった。
渚の隣に座っている美々が、口を尖らせながら華に訴えた。
「渚先輩、最近ずっとこうなんです。突然大きなため息をついたかと思えば、アンニュイな顔でどこか遠くを眺めて深く考え込んだりして。一体どうしたんでしょうね?ここんとこちょっとおかしいです。まあ、それでも営業成績トップを死守しているのが渚先輩のすごいとこなんですけどお。」
「恋でもしてるんじゃない?」
「えー?!そうなんですか?」
「前にイケメンと一緒に飲みに来たことあったのよ。なんだかとても親密なムードだった。」
「そっかー。渚先輩もとうとう春が来たかあ。」