転生したら竜の花嫁⁉ ~雨乞いの生贄にされた私を捨てられた女なら丁度良いと竜が拾いに来ました~
百点満点のエスコート
外が見える大きな窓の側に、ドレスから作業着まで色んな衣装を着たトルソーが並ぶ。
レフィーに連れてこられた仕立屋は、「なかなかニッチなニーズに応えてくれそうだ」というのが私の第一印象だった。
ホテルや商店がメインの中央区と違い、西区は住宅地が大半を占める。「ここに来れば取り敢えず買える」というスタイルなこの店は、重宝されているに違いない。
「この店なら試着が可能です」
「あ、なるほど」
レフィーの台詞に、彼がこの店をチョイスした理由がわかった。私が漫画で描いた「あれこれ試着をして楽しむ」が可能かどうかを基準に選んだらしい。
「さらに着ぐるみから男装女装用の服まで、何でも依頼できます」
「神対応……‼」
すごい。何がすごいって、店以上にレフィーのエスコートスキルがすごい。私の嗜好、既に完全に把握していやしませんか?
私が提案するまで、デートの概念すらなかっただろうに。マニュアル(もどき)を読んだだけで、すぐにこのレベルとは。これがイケメンスキルというものか。
「完全予約制ですが、任意の服を着せたモデルにポーズを取ってもらうサービスもあるそうです」
「もうこの店、全世界に発信したい……!」
理想の服を理想のモデルに着せられるとか。これ絶対、創設者か店長が日本人絡みでしょ。でもってコスプレ好きだったでしょ。
未だかつてないテンションだだ上がり状態で、私は服を片っ端から見ていった。
自分で選ぶのは、両親が健在だった頃以来だ。シクル村に移ってからは、子供の頃は他の子供のお下がり、大人になってからもたまに古着を買い与えられていたくらいだったから。(元々持っていた子供服は、叔父さんが速攻で売り払ってしまった)
子供のときと違い、年頃になったなら選択肢が大幅に増える。冗談抜きで現在、「あれもいい、これもいい」という心境である。これまでの反動もあってか、収拾がつかないレベルに目移りする。
「レフィーはどれがいいと思う?」
よって、私は選択肢を丸ごと投げた。
付き合わされて退屈をしているかと思いきや、興味深そうにドレスを手に取って見ていたレフィーがこちらを振り返る。
そして彼は手にしていたドレスを元の場所に戻して、その側にあるドレスを私に差し出してきた。
「これなんかは複雑な作りで面白そうだと思います」
「面白そう、とは?」
デザインがいいとか素材がいいとかではなく、面白そう? レフィーがまたわけのわからないことを言い始めたよ……。
「男が女に服を贈る際には、脱がせてみたい服を選ぶのでしょう? どうせなら凝った作りの方が楽しいですよね」
「なっ」
誰だこの男に、そんないかがわしい定番ネタ吹き込んだ奴! 私だ!
「下着も必要ですよね。それも私が選んでいいですか?」
「駄目だし聞いてくること自体、アウト!」
この流れで聞いてくるということは、それも「脱がせてみたい」基準ということよね? 「脱がせてみたい下着」だと手渡されて、買えるわけないじゃん! レフィーが下心で言っていないことはわかるけれども、いや下心じゃないからこそ余計にやばい。
「そうですか。ではそちらはミアにお任せします」
「うん、そうして。……んん?」
あれ? 私の下着を私が選ぶはずが、レフィーのために私が選ぶみたいな流れになっている……⁉
(いやいや、気のせい。気のせいだ。そういうことにしておこう)
下着からはスッパリ離れ、ドレスだけをレフィーは何着か勧めてくれた。
彼が選んだ基準はやはり「面白そう」ではあったが、意外にもそのどれもが私の好みとも合っていた。
「じゃあこの五着を試着してみるわ」
私は店員の女性に声を掛け、試着室へと連れて行ってもらった。
レフィーに連れてこられた仕立屋は、「なかなかニッチなニーズに応えてくれそうだ」というのが私の第一印象だった。
ホテルや商店がメインの中央区と違い、西区は住宅地が大半を占める。「ここに来れば取り敢えず買える」というスタイルなこの店は、重宝されているに違いない。
「この店なら試着が可能です」
「あ、なるほど」
レフィーの台詞に、彼がこの店をチョイスした理由がわかった。私が漫画で描いた「あれこれ試着をして楽しむ」が可能かどうかを基準に選んだらしい。
「さらに着ぐるみから男装女装用の服まで、何でも依頼できます」
「神対応……‼」
すごい。何がすごいって、店以上にレフィーのエスコートスキルがすごい。私の嗜好、既に完全に把握していやしませんか?
私が提案するまで、デートの概念すらなかっただろうに。マニュアル(もどき)を読んだだけで、すぐにこのレベルとは。これがイケメンスキルというものか。
「完全予約制ですが、任意の服を着せたモデルにポーズを取ってもらうサービスもあるそうです」
「もうこの店、全世界に発信したい……!」
理想の服を理想のモデルに着せられるとか。これ絶対、創設者か店長が日本人絡みでしょ。でもってコスプレ好きだったでしょ。
未だかつてないテンションだだ上がり状態で、私は服を片っ端から見ていった。
自分で選ぶのは、両親が健在だった頃以来だ。シクル村に移ってからは、子供の頃は他の子供のお下がり、大人になってからもたまに古着を買い与えられていたくらいだったから。(元々持っていた子供服は、叔父さんが速攻で売り払ってしまった)
子供のときと違い、年頃になったなら選択肢が大幅に増える。冗談抜きで現在、「あれもいい、これもいい」という心境である。これまでの反動もあってか、収拾がつかないレベルに目移りする。
「レフィーはどれがいいと思う?」
よって、私は選択肢を丸ごと投げた。
付き合わされて退屈をしているかと思いきや、興味深そうにドレスを手に取って見ていたレフィーがこちらを振り返る。
そして彼は手にしていたドレスを元の場所に戻して、その側にあるドレスを私に差し出してきた。
「これなんかは複雑な作りで面白そうだと思います」
「面白そう、とは?」
デザインがいいとか素材がいいとかではなく、面白そう? レフィーがまたわけのわからないことを言い始めたよ……。
「男が女に服を贈る際には、脱がせてみたい服を選ぶのでしょう? どうせなら凝った作りの方が楽しいですよね」
「なっ」
誰だこの男に、そんないかがわしい定番ネタ吹き込んだ奴! 私だ!
「下着も必要ですよね。それも私が選んでいいですか?」
「駄目だし聞いてくること自体、アウト!」
この流れで聞いてくるということは、それも「脱がせてみたい」基準ということよね? 「脱がせてみたい下着」だと手渡されて、買えるわけないじゃん! レフィーが下心で言っていないことはわかるけれども、いや下心じゃないからこそ余計にやばい。
「そうですか。ではそちらはミアにお任せします」
「うん、そうして。……んん?」
あれ? 私の下着を私が選ぶはずが、レフィーのために私が選ぶみたいな流れになっている……⁉
(いやいや、気のせい。気のせいだ。そういうことにしておこう)
下着からはスッパリ離れ、ドレスだけをレフィーは何着か勧めてくれた。
彼が選んだ基準はやはり「面白そう」ではあったが、意外にもそのどれもが私の好みとも合っていた。
「じゃあこの五着を試着してみるわ」
私は店員の女性に声を掛け、試着室へと連れて行ってもらった。