転生したら竜の花嫁⁉ ~雨乞いの生贄にされた私を捨てられた女なら丁度良いと竜が拾いに来ました~
再びエレベーターっぽい浮遊感とともに、すーっと箱が上昇していく。
ぐんぐん昇って、カコンと止まる。
(わー……カルガディウムの街が一望できる……)
まさに高層ビルのエレベーター。その再現率たるや素晴らしい。しかし、何せシャフトもワイヤーもないので、どうしても『浮かぶ箱』感は拭えない。エレベーターネタより、前世で流行っていた『箱詰めシチュエーション』を彷彿とさせる。
「――ああ。この空間は、キスをするまで出られません」
とか考えていたら、レフィーが本当に『箱詰めシチュエーション』を搦めてきた。
しかも今、思いついた感じだった。随分と私の漫画に感化されて来ている様子。仕掛け人として喜ぶべきか、冗談の通じない相手に吹き込んでしまったと青褪めるべきか。
実際、こんな高度から私一人で脱出は無理なわけですし。まさに『キスしないと出られないエレベーター』に閉じ込められているわけですし。
「どうぞ」
ご丁寧に、レフィーがその場に座ってくれる。ちょっと考える素振りを見せてからそうした彼の頭の中で、私が慣れない靴で背伸びして転んだのかもしれない。そしてその予想図は、否定できない。
私はレフィーの目の前まで行って、膝をついた。
先程の玄関での構図と、お互いの位置が逆だ。折角なので、壁ドンもしてみた。前世から今世にかけて、人生初の壁ドンである。
(うっ……良い顔が近過ぎる……っ)
同じ構図になっても、身長差という違いがあるわけで。何故やる前に思い至らなかった、私。
迫っている私がドキドキバクバクしていて、迫られているレフィーがウキウキワクワクしているなんて。
いやほんと、何珍しく目に見えるレベルで微笑んでいるの。実は迫られるのが好きなMなの? それとも私が困っているから嬉しいSなの?
この対峙から逃げ出したい。が、壁ドンしておいてそれはどうなのと思う、テンプレ好きの私がいる。
よし、ここはそう、勢いをつけて――
チュッ
っと、ね。……ほっぺたに。
「……ミア」
「んー?」
これまた珍しく呆けた顔になっているレフィーに、私は素知らぬ顔で返事をした。
だって、どこにキスするとまでは指定されていませんし?
にっこりしながら、まだいつもの無表情に戻っていない彼を見る。
ふふふ。してやったり。
――なんて思ったのも束の間、
「今のようなキスも、これはこれでありですね」
「……」
そう来たか。そう来なさったか。レフィーのキスに傾ける情熱は、私が想像している以上に守備範囲が広かったらしい。
「うひゃっ」
そして覚えたなら試す主義のレフィー。狙われたのは、至近距離にあった二の腕だった。柔らかな内側をチュッとされた。想定外の攻撃に、壁をドンしていた私の腕が、いとも簡単にへにょっと曲がる。
それをいいことに、レフィーは私の後頭部をぐっと自身の方へと引き寄せた。それから彼は私の頬へも、きっちりとキスをした。
ぐんぐん昇って、カコンと止まる。
(わー……カルガディウムの街が一望できる……)
まさに高層ビルのエレベーター。その再現率たるや素晴らしい。しかし、何せシャフトもワイヤーもないので、どうしても『浮かぶ箱』感は拭えない。エレベーターネタより、前世で流行っていた『箱詰めシチュエーション』を彷彿とさせる。
「――ああ。この空間は、キスをするまで出られません」
とか考えていたら、レフィーが本当に『箱詰めシチュエーション』を搦めてきた。
しかも今、思いついた感じだった。随分と私の漫画に感化されて来ている様子。仕掛け人として喜ぶべきか、冗談の通じない相手に吹き込んでしまったと青褪めるべきか。
実際、こんな高度から私一人で脱出は無理なわけですし。まさに『キスしないと出られないエレベーター』に閉じ込められているわけですし。
「どうぞ」
ご丁寧に、レフィーがその場に座ってくれる。ちょっと考える素振りを見せてからそうした彼の頭の中で、私が慣れない靴で背伸びして転んだのかもしれない。そしてその予想図は、否定できない。
私はレフィーの目の前まで行って、膝をついた。
先程の玄関での構図と、お互いの位置が逆だ。折角なので、壁ドンもしてみた。前世から今世にかけて、人生初の壁ドンである。
(うっ……良い顔が近過ぎる……っ)
同じ構図になっても、身長差という違いがあるわけで。何故やる前に思い至らなかった、私。
迫っている私がドキドキバクバクしていて、迫られているレフィーがウキウキワクワクしているなんて。
いやほんと、何珍しく目に見えるレベルで微笑んでいるの。実は迫られるのが好きなMなの? それとも私が困っているから嬉しいSなの?
この対峙から逃げ出したい。が、壁ドンしておいてそれはどうなのと思う、テンプレ好きの私がいる。
よし、ここはそう、勢いをつけて――
チュッ
っと、ね。……ほっぺたに。
「……ミア」
「んー?」
これまた珍しく呆けた顔になっているレフィーに、私は素知らぬ顔で返事をした。
だって、どこにキスするとまでは指定されていませんし?
にっこりしながら、まだいつもの無表情に戻っていない彼を見る。
ふふふ。してやったり。
――なんて思ったのも束の間、
「今のようなキスも、これはこれでありですね」
「……」
そう来たか。そう来なさったか。レフィーのキスに傾ける情熱は、私が想像している以上に守備範囲が広かったらしい。
「うひゃっ」
そして覚えたなら試す主義のレフィー。狙われたのは、至近距離にあった二の腕だった。柔らかな内側をチュッとされた。想定外の攻撃に、壁をドンしていた私の腕が、いとも簡単にへにょっと曲がる。
それをいいことに、レフィーは私の後頭部をぐっと自身の方へと引き寄せた。それから彼は私の頬へも、きっちりとキスをした。