僕の愛した人は…
 
 爽やかな朝の陽ざしがカーテンの隙間から差し込んできて、優が目を覚ました。
 
 昨晩はあれから何度もメイを求めた優。気づけばメイの体には、優が愛した跡がたくさん残っていて、それを見るとやりすぎたかな? と反省する気持ちもあった。 

 有羽を挟んで三人で寝る事にして、優は久しぶりにぐっすりと眠ったような気がした。

 有羽とメイの寝顔を見ていると幸せだなぁと思える。

「…大丈夫だよレイラさん…。僕が、愛する人と有羽の事を守りますから…安心して下さい…」
 
 優はメイがレイラじゃない事を知っているようだ。
 でも愛する人と言うのは何故なのだろうか?
 
 二人を起こさないように先にベッドから出た優は身支度を整えるために自分の部屋に向かった。


 しばらくしてメイも起きてきた。
 
 部屋で身支度を整えていると、胸の周りに優がつけた跡が沢山残っているのを見ると赤くなった。
「私…初めてだったけど…バレてないかな? 」
 痛みはこらえていたけど…。
 そんなことを思いながら身支度を整え。着替えを済ませてメイはリビングへ降りて行った。

「おはようございます。初めまして、お手伝いのユキです」
 リビングには朝食の準備をしているお手伝いがいた。60代くらいの小柄な女性が丁寧にお辞儀をしてくれた。
「初めまして…レイラと申します…」
 ここではそう名乗るのが一番だとメイは思った。

 ユキは挨拶をするメイをじっと見ていた。
「あ…あの…。何か…」
 あまりにも見つめられてメイは困ってしまった。
「すみません。あまりにもお綺麗な方なので見惚れてしまいました。でも…有羽様にとても似ていらっしゃいますね」
「はぁ…」
 曖昧な返事をしてメイはごまかした。
「何か不憫な事がございましたら、いつもで仰ってくださいね。それから、苦手な食べ物なども教えて下さいね」
「あ、ありがとございます」

 とても穏やかで優しいお手伝いのユキにメイはちょっと驚いていた。



 メイが顔を洗って朝食の準備を手伝っていると優と有羽が起きてた。
「おはようございます優様。有羽様」
 ユキがご飯を装いながら挨拶をした。
「おはようございます。ユキさん」
「おはようございます。わぁ~タコさんウインナーがある」
 
 食卓に用意されたウインナーを見て有羽が喜んでいた。

「おはようレイラさん」
 優がメイに歩み寄って来た。
「おはようございます」
 挨拶を返したメイは優の右手の人差し指に絆創膏がまかれているのを見ると、昨夜の事を思い出してちょっと赤くなった。だがそんな顔を見られたくなくそっと顔をそむけた。
「ねぇレイラさん。今日はどこかに出かけるの? 」
「はい、少し用がありますので」
「夜には終わるかな? 」
「はい、多分…」
「じゃあ、夕飯はどこか外食しない? 」
「え? あ、あの…」
「どうかした? 」
「いえ…ちょっと今日は今日があるので、別の日でお願いします」
「そう、分かったよ」

 そのまま食卓に着いて優は有羽と一緒に朝食を食べ始めた。

 メイの事をすっかりレイラだと思い込んでいる優と有羽。
 このまま騙し通していて良いのだろうか?

 メイは少し罪悪感に駆られていた。
 

 
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