君しか考えられないーエリート御曹司は傷物の令嬢にあふれる愛を隠さないー
 瞼をキツク閉じて、痛みに耐える。

「はあ」

 しばらくした頃、彼が大きく息を吐き出した。
 キツク閉じていた瞼をそっと開けると、私と目が合った彼が幸せそうに微笑み返してきた。

 それから体を倒した晴臣さんに、素肌を密着させて抱きしめられる。ふたりの間はわずかな隙間もなく、ようやく彼とひとつになれのだとさとった。

 直に触れ合う素肌の心地よさに、さっき感じた傷みの衝撃が薄れていくようだ。お互いの鼓動が重なり、どちらのものかわからなくなっていく。

 それから、体を起こした晴臣さんは私の顔中に優しく口づけていった。

 私の様子を伺いながら、晴臣さんがゆっくりと動きはじめた。
 最初はなにがなんだかわからずにいたけれど、次第に快感が混じりはじめる。

「あっ、あぁ」

 余裕は徐々になくなり、彼に体を揺すぶられるたびに甘い声が漏れる。
 快感を逃そうと何度も首を振ったけれど、上手くいかない。
 指でされたのとは比べ物にならないほど気持ちよくて、されるがまま晴臣さんに身を任せた。

 絶頂の予感に、手足をぎゅっと握り込む。
 私に深く口づけた晴臣さんは、それから追い込むようにさらに動きを激しくした。

「ああぁ……」

 ついに快感の渦が弾けて、全身を強張らせる。そのすぐ後に晴臣さんも動きを止めた。

 隣に体を横たえた彼に抱き寄せられる。

「愛してる、亜子」

 彼の胸もとに、さらに頬を寄せた。

「私も、晴臣さんを愛してる」

 すっかり力の入らなくなった腕をなんとか持ち上げて、彼の背にそっと回した。
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