君しか考えられないーエリート御曹司は傷物の令嬢にあふれる愛を隠さないー
 帰宅するとすぐに家事に取りかかった。そうしている間も、頭の中はつくしでいっぱいだ。
 今頃どんなふうに過ごしているのか。粗相をしていないだろうかと、気になって仕方がない。

「メッセージを送っても、いいのかな」

 自室でスマホを片手に頭を悩ませる。
 彼からは、いつでも連絡してくれてかまわないと言われている。
 それでも迷惑じゃないだろうかと気にしすぎて、一歩を踏み出せずに悶々とする。

 せめて明日、連絡をしてみよう。
 そう無理やり自分を納得させたタイミングで、スマホの着信音が鳴った。
 メッセージの送信者の欄に三崎さんの名前を見つけて、慌てて画面をタップする。
 
【ネロはつくしを慎重に見守っている。最初はよそよそしかったが、今は体を寄せ合って眠っている。つくしの体調も問題ないようだ】

 そこには、二匹が眠る写真まで添付されていた。
 つくしはすっかりネロに懐いているらしい。ネロに体をもたせかけて、安心しきった様子で目を閉じている。ネロの方も、小さなつくしを囲うようにして寝そべっていた。

「よかった」

 二匹の愛らしい姿に、自然と笑みがこぼれる。
 彼の方から知らせてくれたのは本当にありがたくて、早速お礼の返信をした。
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