君しか考えられないーエリート御曹司は傷物の令嬢にあふれる愛を隠さないー
 それからというもの、三崎さんは毎日のようにつくしの様子を知らせてくれた。
 彼によれば、すっかり仲良くなった二匹は常に一緒にいるのだという。子猫のつくしがやんちゃをしても、ネロは尻尾を振るだけで受け流す。そんな動画まで送ってもらい、繰り返し眺めていた。

 つくしが元気を取り戻しつつあることに安堵はしたが、飼い主探しは難航を極めていた。

【三崎さん、すみません。つくしをもらってくれる人が、まだ見つからなくて】

 助けてからの今日までの五日間。私が見たところ、会社の近所で迷いネコの情報はいっさい見つからなかった。SNSをこまめにチェックしていたが、つくしの飼い主と思われる発信は皆無だった。

 新しい貰い手も並行して捜している。ネットを通して見ず知らずの人に託すのはなんだか不安で、ひとまず周囲の人に直接声をかけてきた。
 でもそれほど顔の広くない私が頼れるのは、会社の同僚と少しの友人くらいしかいない。
 写真を見せてつくしのかわいさをアピールしたところ、何人かに興味を持ってもらえたものの、飼いたいと言ってくれる人はいない。
 知り合いに聞いてみてくれた同僚もいたが、そちらもなかなかよい返事がもらえないでいる。

 解決までに時間がかかるかもしれないと思っていたが、それどころか早くも手詰まり状態になってしまった。

【急がなくてもかまわない。つくしはネロとの相性もいいようだし、どうしても見つからなければ俺が一緒に飼うよ】

 そこまで甘えてしまうのは申し訳ないが、しばらく彼に頼るしかなさそうだ。
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