君しか考えられないーエリート御曹司は傷物の令嬢にあふれる愛を隠さないー
 値段がわからないのならせめて使い勝手の良いものを選ぼうと、慎重に吟味した。

「テーブルは、これがいいです」

 丸みを帯びたデザインがかわいい、小ぶりのものを選ぶ。
 
「ソファーはどっちがいい?」

「色が合いそうなので、このクリーム色のものがいいです」

 私が答えると、彼は満足そうな顔をした。
 それから彼は、私が必要ないと主張したドレッサーや本棚なんかもピックアップしていく。
 おかげで自分が考えていた以上の買い物になってしまい、ただただ申し訳なくなった。

「こんなにたくさん買わせてしまって、本当にすみません」

 車に乗り込むと同時に、真っ先に謝罪した。

「謝る必要はないよ。俺は亜子との結婚を楽しみにしているからね」

 彼のまっすぐな言葉に胸が疼く。

「だから、謝罪ではなくてお礼の方がうれしい」

 甘く微笑まれてドキリとする。

「ありがとう、ございます」

 なんとかそう言った私に、晴臣さんはますます笑みを深めた。

「亜子は? 俺と一緒に暮らしたいと思ってくれているか?」

 打って変わって、真剣な眼差しでまっすぐに見つめられる。

「も、もちろんです」

 熱い視線に気恥ずかしくなる。でも彼には私の素直な気持ちを知ってもらいたくて、目を逸らさずに伝えた。
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