溺愛トライアングル!
大丈夫。
まだ、食らいつける。
女子は男子より距離が短いから、周回遅れは出ていない。
だけど体力がなかったり、私みたいに運動が苦手な人の中には、倒れて保健室に行っている人も出ている。
…倒れないように、気をつけないと…。
私は丁寧に、力強く足を出す。
私は中盤あたりを走っていて…半周ぐらい先に先頭の人が居る。
このぐらいなら…!
チラリと後ろを見て、私の後ろに人が少ないことを確認すると、前の人を抜かしていく。
リズムは変えずに、走る幅だけを大きくして。
一人、また一人。ゆっくりと抜かしていく。
前を走る人が、一人、また一人後ろに行く。
あと少し、あと少し…!
前を走る人は、あと一人。
そうなったところで、前を走っていた人がゴールし…私は、2位でゴールした。
やった…よくできたほうかな…。
倒れ込むように地べたに座り込み、呼吸を整える。
目線を少し横に向けると、こちらへ駆け寄ってきてくれる祐月が見えた。
祐月は、私と同じように水筒とタオルを手渡してくれた。
ありがとう、と言おうにも口が動かなくて、無言でそれを受け取る。
冷たい水が喉を潤し、頭の中を冷やしていく。
祐月はタオルを私の頭に放り投げた。
扱い、雑だなぁ。