溺愛トライアングル!

「まず、1000m、1500m。出場したい人」



中距離走の選手は男女二人ずつの四人。クラスで一番速い女の子と、二、三番目に速い男の子二人が手を挙げた。



「三人は決定でいいですね?あと女子一人。やる人はいませんか?」



体育委員がクラス中を見渡すけど、誰も出てこない。



「ちなみに、これが選手種目の中で一番点数が高いものだそうだ」




先生が爆弾を投下する。

先生ったら。ここでそんなこと言ったら、余計に出てこなくなるよ…。

案の定、女子が目と目で押し付け合いをしている。


うぅ…このままじゃ揉めちゃう。

そう判断して、私は苦渋の決断を迫られた。

そして…。



「誰もいないなら私やります。期待しないでほしいけど…」



本当、期待しないでほしいけど。と思いながら、手を挙げる。

体育委員の表情があからさまに安心したものになった。



「ありがとうございます、朝浜さん。それじゃ、この競技は決定でいいですか?」



教室中からボソボソと声が聞こえ、拍手が聞こえる。


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