ワンナイトラブ
「あいつ…あんな見た目だし、学校では不良とか言われてるでしょ?あながち間違ってはないんだけどね。元、不良だったし」
「元?」
大智さんは笑いながら頷くと、ぽつりぽつりと語り出した。
「俺ね、ずっと自分の店を出すことが夢だったんだ。その夢を叶えるためにそばで支えてくれていたのが、俺の奥さん。…けど、三年前に死んじゃってね。交通事故だったんだ。お母さんが突然死んじゃった朔夜は、きっとすぐにその現実を受け止められなかったんだろうね。すっかりグレちゃって、あまりよくない人たちとつるむようになって、毎日喧嘩ばっかりして。何回か警察沙汰になったりもして、本当大変だったんだよ」
大智さんが手に持っているグラスに視線を落としたまま悲しそうに笑った。
「どんなに叱っても意味がなくてね。もうこのまま朔夜は元に戻らないのかなってずっと心配だったんだ。…だけどほんとにある日突然、喧嘩はもうやめるって朔夜が言い出してね。理由を聞いたら、ある女の子に怪我を手当てしてもらった、ってだけ言ってきて。それから今までしてなかったくせに急に勉強も頑張り始めて、今の高校に無事受かったんだ。入学式の日に珍しく朔夜がご機嫌で帰ってきてね、ずっと会いたかったやつを見つけた、なんて教えてくれて、すぐにあの日の子だってピンと来たよ。朔夜は気づいてないみたいだけど、その子に恋しているんだってこともね」
「そう、なんですか…」
あの小山くんを変えた人だなんて、きっと私とは正反対の強くてかっこいい女の人なんだろうな…。
「元?」
大智さんは笑いながら頷くと、ぽつりぽつりと語り出した。
「俺ね、ずっと自分の店を出すことが夢だったんだ。その夢を叶えるためにそばで支えてくれていたのが、俺の奥さん。…けど、三年前に死んじゃってね。交通事故だったんだ。お母さんが突然死んじゃった朔夜は、きっとすぐにその現実を受け止められなかったんだろうね。すっかりグレちゃって、あまりよくない人たちとつるむようになって、毎日喧嘩ばっかりして。何回か警察沙汰になったりもして、本当大変だったんだよ」
大智さんが手に持っているグラスに視線を落としたまま悲しそうに笑った。
「どんなに叱っても意味がなくてね。もうこのまま朔夜は元に戻らないのかなってずっと心配だったんだ。…だけどほんとにある日突然、喧嘩はもうやめるって朔夜が言い出してね。理由を聞いたら、ある女の子に怪我を手当てしてもらった、ってだけ言ってきて。それから今までしてなかったくせに急に勉強も頑張り始めて、今の高校に無事受かったんだ。入学式の日に珍しく朔夜がご機嫌で帰ってきてね、ずっと会いたかったやつを見つけた、なんて教えてくれて、すぐにあの日の子だってピンと来たよ。朔夜は気づいてないみたいだけど、その子に恋しているんだってこともね」
「そう、なんですか…」
あの小山くんを変えた人だなんて、きっと私とは正反対の強くてかっこいい女の人なんだろうな…。