間違いだらけのしあわせ



「はは」



何も聞こえない。

何も聞きたくない。

から。

私が口を開くしかない。



「良かったね」



顔もみれないのに,笑う。

あぁどうしよう,言葉がとまる。

言葉が止まれば,彼は去る。

顔も知らない彼女のもとに。

私のことなんて過去から消して。

彼女といる度に,恥じることがあるかもしれない。

私を後悔して,いつかきっと恨むだろう。

私が望んだ方向と反対に。

自分のせいだ。

分かってる,分かってた。

いつか終わるって。

分かってて,掴んだ。

振り払われたら終わるのに,手首だけをしっかりと掴んだ。

すがって,とめていた。

その分不相応のしあわせの取り立てが今されているだけ。

他の子達みたいに真っ直ぐ頑張らず,諦めて。

手短な幸せに手を伸ばした。

大学生にもなってこんなばかなことを,ううん,私はダメな方の大学生になってしまったのしれない。

ねぇ,気付いた?

ごめんね,いきなりじゃ隠せなくて。


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